【バイクの洪水】ホーチミンで暴走族の総長になった話
※ホーチミンでインターンをしていた時の話です。
【導入〜バイク天国ホーチミン〜】
さてみなさん、突然ですがホーチミンといえばバイクです。
東南アジアといえば、バイク社会のイメージがあるとは思います。ただベトナム・ホーチミンはずば抜けている。まずは動画でその雰囲気を感じ取ってもらいたいです。
[ベトナム]ホーチミンシティを走るバイク - YouTube
ホーチミンのバイク・ラッシュは朝と夕方の通勤時間帯にピークを迎えますが、このときの凄さは、
「W杯期間の渋谷スランブル交差点の歩行者全員が、原付バイクで移動しているところ」を想像して頂ければだいたいOKです。交通ルールなんてありません。みんなが進みたい方向に進むので、あちらこちらで事故が起きます。それこそ、すれ違う人と肩がぶつかる、みたいなノリで。あちらこちらでガシャンガシャン。
【しかしデプチャイは滾りだす】
当初は私デプチャイ・俊もさすがに、このホーチミンの"ケイオス"で"アナーキー"な雰囲気には圧倒されました。
しかし同時に、小さい頃に抱いていた’ある感情’も、むくむくと大きくなってきました。ある感情とは、「一度でいいから暴走族の総長になってみたい」という感情です。
僕は茨城県の西の小さな町で幼少、青春時代を過ごしました。農業中心、のどかな町でありましたが、夜になるとバイクのエンジン音が夜空をつん裂く、県内屈指の「ジェット(暴走族の)シティ(街)」でもあったのです。いわゆる'優等生'であった僕は,不良と交わることは基本的にはありませんでした(成人式二次会のカラオケで酔った他校の不良に頭突きされたくらい。)が、一方で自分が触れ得ない、その"ケイオス"で"アナーキー"な空気感に少なからず憧れの念を抱きました。ホーチミンの「バイク洪水」は僕のなかで眠っていた彼らへの憧れを呼び起こしました。もう誰にも止めることはできません。
ということで、今回のテーマは
「ホーチミンでバイク大群の先頭に立って"総長"の気分になる」
※イメージ(http://nstimes.com/archives/30384.html)
です!夜露死苦ゥ。
【特攻準備】
9月15日am6:00 特攻当日
僕が住んでいた18A nguyen thi minh khai のヘム(路地)で記念撮影
、、眠い。
めちゃくちゃ眠いじゃないですか。
「魚」というニックネームを持つ日本人留学生の友人を、朝の5:30に呼び出しておきながら、彼の電話に起こされました。
昨晩、「絶対に遅れるなよ!」「留学生だからどうせ暇だろう!」「どうせ授業半日しかないんだろう!」「毎日パーティーなんだろ!」「そんで酔ったふりしてすぐ股開くんだろう!!」と、遅刻をしないよう釘を刺すついでに、日頃溜まっている留学生に対する嫉妬を恨みに変え、盛大にdisらせていただいた、そんな彼の電話で起こされました。
とはいえこちらは学生インターンながらちゃんと働いているわけで、休みの日くらい寝坊しても仕方ない。暇な留学生とは違って。疲れてるもの。
ということもあり、眠いのでとりあえず「明日にしよう?」と提案したところ、
なぜか無言で鳥の写真を取り始めたので渋々決行することにしました。
ほんとまいっちゃうよ。
youtube見てたら朝が来たみたいな顔をしていますが、今から暴走族になります。
着替え中
そして、、、
ドリャ!!!
セイッッ!!
暴走族になりました。
↑この特攻服は2週間くらいかけて、コツコツ作ったものです。かっこいいよね!特に「放置民」の字面なんて、めちゃくちゃ"アナーキー"じゃないですか!? お気に入り!
ちなみに「チョイ・オーイ」は英語の「oh my god!」日本語でいうところの「なん・・だと・・!?」とか「・・チャドの霊圧が・・消えた・・!?」と言う意味です嘘です。(oh my godは本当です。ブリーチはよくわかりません。)
そしてこれが今日の俺の相棒
頭隠しちゃって、なんだか、恥ずかしそうに見えるね。
きっとバッチリ闘乱巣呆夢(トランスフォーム)したご主人に、気後れしてしまったんだね。
大丈夫、今からお前を立派な刄威苦(バイク)にしてやるさ
黒く塗ったダンボールを切って
背もたれ!(愛だね)
ベトナム国旗もつけて記念撮影!!(ウインカーもちゃんと見える!シースルー仕様)
....ふむ
まあ、若干の”何か違う感”はなんのその!
大事なのはやる気!元気!いわき!(ガハハ)
期は熟した、、
乗りこなしてやるぜ、、!H×C×M×C(ホーチミンシティー)!!
【仏恥義理(ぶっちぎり)ホーチミン】
いよいよ街に出撃します。
特攻服着て、バイクもカスタムして、準備は万端。
思えばホーチミンに来てからというもの、足を轢かれたり(一度や二度ではない)、歩行中に後ろからはねられたり、バイクには蹂躙されっぱなしでした。
ただ今日の俺は一味違うってトコロ、見せつけてやらねえとな?
オウ
アタマ獲ってくるわ!!(発車!)
ちなみにベトナムでバイクを運転するのは、この時が初めて。なんならバイクで道路を走るのも、人生で初めてでした。(ブレーキ握ってからじゃないとエンジンかからないんですね)
ただ滑り出しは良好!なんだ、原チャって思ったよりも簡単じゃないか!
この調子なら、昼前には天下統一かな〜〜
ブブブブブ.......
よしそろそろ通りに出るぜ、、
さあ!全員まとめてかかってこいや!!
??.....か、かかってこいや!!
オウ。
全然バイクが走ってねぇ。
それもそのはず、この時すでにam 8:00 。通勤ラッシュはとっくに終わっていました。(※ベトナムの通勤ラッシュは5時〜7時)
しかもここはデタム通り、いわゆるバックパッカー街。クラブやスポーツバーがひしめき合う、日本でいうところの歌舞伎町(?)。夜はそれこそ一晩中ドゥン!ドゥン!ドゥン!ドゥン!と四つ打ちビートが鳴り響き、いろんな国の旅行者と現地人が入り乱れ、ひたすらビールを飲んだり踊ったりととても騒がしい場所ですが、その分朝は寂しい場所です。
出鼻をくじかれたのと、繁華街の朝 特有の”祭りのあと的な寂しさ”を纏うデタム通りの
瘴気にやられ、すっかり恥ずかしくなってきました。
ということでひとまず、ベトナム名物"ノンラー"を被ったおばさんから顔隠し用にサングラスを購入します。
※レイバンやらオークリーやら、ラインナップがすごいですがもちろんみな偽物です。
マッカーサー元帥風のものや、
ギターウルフ・セイジ風のものを試しましたが、
あとあと実用的かな、という判断で無難(?)な黒のスポーツサングラスにしました。
それとサングラスだけではまだ恥ずかしかったので、クレヨンしんちゃんに出てくる「埼玉紅サソリ隊」のメンバー”魚の目お銀”風のマスクも着用しました。不良に対する知識が乏しい。
しかしこれで恥ずかしさは無くなった。気合を入れ直して、再度街に出撃します!
(背もたれに若干の不安)
ブブブブブ........
バイクを走らせ、主戦場となるホーチミンの中心部を目指します。
そして..............
メインストリートに到着!!!!!(ドンッ!)
オウッ!バリバリ※じゃねえか!
(※バリバリ:ヤンキー的にすごくイケてることやそういう気分の時つかう。IBARAKING.comより。)
まだ昼前なのにバイクの数がすごい!細い道にバイクがぎっしり!この写真のずっっっっと後ろまで、バイクの大群!バイクの大洪水じゃ〜〜〜〜!!
予想外のバイクの数、正直ビビります。
しかし相手にとって不足はなし!
そう、俺は弱い自分とララバイする為、ホーチミンで総長になって、日本、いや世界を引っ張るTOPになる為にホーチミンに来たんだ。
このアナーキー
早速、この大群に飛び込みます!(ブン!)
ひたすら前を目指し突き進みました。
しかし、
大群はやはりなかなか手強く、
ちっとも
先頭を走れる気がしません。
なんとか前に、前にと進もうとするのですが、このバイクの密度。まさにバイクのスクラム。五郎丸一匹通れません。
それでも無理やり動こうとすると、「アアン?」で感じで睨まれます。中には怒ってバイクを蹴って来る人もいました。特攻服着てるのに。総長なのに。ありえない。日本ならモーセよろしく、道がさーっと開けて、畏れと尊敬の視線を四方八方浴びながら堂々と先頭を走れるはずなのに。
完全に舐めてた。ホーチミン強い、、。
しかしここで折れないのが真の総長!思考をフル回転!できる総長は
頭も切れるのです!
そして思いついたのが
「信号の横で待機して赤になった瞬間に素早く移動して先頭に立つ作戦」だ!!!
いま思うとなんとも情けない作戦ですが、以降この作戦を地味に遂行し続けました。
(信号が青になり、ビビるぼく。先頭を走るって結構プレッシャーあるんですね。)
この調子で頑張ります。
【ポリ公との衝突】
それは赤信号待機作戦の実行中、、
警察官に怒られました。(交通の妨げだから)※左側のベージュの制服の二人が警察官
【休憩】
少し落ち込んだので、cafe su da飲んで元気出しました。甘いくて美味しい。
【ついにその時が】
そんなんこんなしているうちに、夕方恒例のスコールが降り、夜が近づいて来ました。
ここまで①赤信号で待機②先頭に立って③写真を撮るをという行為を繰り替えしてきたもの、どれも”これぞ総長”という感じではありません。
(今まで撮れた写真。道が細い。バイクの数が少ない。しかも一台は自転車。)
そこで場所を変え、ホーチミン統一会堂前のpaster通りに来ました。中心部で一番太い道路です。
ところでこの時点で街へ繰り出してから、8時間も経っていました。この頃には自前の特攻服も塗料が溶け出すやら、雨に濡れて寒いやら、撮影に付き合ってくれている留学生・魚への報酬が、スムージ1個(2万VND)から、VU DEの焼肉(20万VND)(VU DE:ユゥーイェー。ヤギのおっぱい)まで高騰するやら。つまりこれ以上は限界ということです。
ただこのままじゃ、日本に帰れません。半端なまま物事を終わらせるって精神衛生的に最も避けるべきだし、何よりダサい。最後にサヨナラ大逆転ホームランをホーチミンに食らわせて、おれは総長になる!(ドン!)
族の神様よ。今日だけ、この夜だけでイイから、
俺を世界一の総長にしてくれ〜〜い!!
赤信号になり、路肩からバイクを列の先頭まで進ませ、先頭に立ちました。
ラストチャンス。
後ろを振り返ると、結構な数のバイクが!今だ!魚!写真撮って!
カシャ
オオ..
これは
うん。
かっこいいの撮れた〜〜〜
これはかなり、追い求めていたものに近い!雨×夜の効果もあってか今まで撮れた写真とは比べものにならない、限りなく"総長"じゃないでしょうか!
別テイクのもいってみよう!
うん。いや、相当かっこいいな?!かっこいいぞ
でもあれじゃない?暴走族たちが好きな、ヤンキーのしたためる詩こと”ヤン詩”とか載せるとさらにかっこいいんじゃない??
!?!?
く、
くうぅぅ〜〜〜〜ヤン詩バリバリだぜ〜〜!
これやばくないですか??予想外にしっくりくる!!まじかっこよすぎてガールズ濡れてません??濡れてるでしょう?ぼくは濡れました。
そうであるならば、あれもイケるでしょ!!ヤンキー川柳(ヤン流)!
アン字余り。もうエロすぎ(ジョバー)
【感想】
(↑謎のコラ画感)
満足しました。着想から実行まで結構な時間かけたし、インターンの合間を縫って作った特攻服も一度作り直したり(!)と結構なこだわりを持って準備したので、割と良い写真が撮れて少しホッとしました。それと、とても楽しかったです。特攻服を着てバイクに乗るとやはり周りの注目は浴びるので、なんだか自分が数段パワーアップしたような気分になります。序盤こそ恥ずかしかったですが、後半はもうノリノリでした。暴走族の格好をして、街を走る。少しだけ、暴走族の気持ちが味わえたので 、当初の目的も果たせたかなと思います。
(信号が青に変わり、慌てて逃げ出す↑)
最後に、一日中写真撮影に付き合ってくれた魚ありがとうございました。終盤に冷やかしにだけ来てくれた長谷川くん、遠藤くんもありがとう。
完